「時の旅人クレア」「ジェイミーの墓標」に続くアウトランダーシリーズの第三部がやっと発売されました。
あらすじと言っても今回前回までのあらすじと違ってなかなか大変でした。ジェイミーの世界ではクレアがいなくなってからの20年間の経過がかかれてましたし(それがあまりに痛々しく悲惨・・・!)、クレアの世界では彼のたどっていった記録を調べるかたわら、現代に戻ったクレアのこの20年間も辿っていました。それにしてもフランク・・なんだか哀れで可哀想。(段々あらすじが長くなっていきます・・・)
時の彼方の再会1
カローデンの大敗で残党狩りがイングランド軍の手によりはじまりました。ジェイミーは生きていました・・・大怪我をして。(ジャック・ランダルはすでに死亡)戦友たちが次々と銃殺されるなかで彼だけは助けられました。
第二部でジェイミーを襲って捕まりながら命を助けられた少年がいましたが、彼はメルトン卿の弟でした。名誉を重んじる卿によって命だけは助けられました。
故郷ラリーヴロッホへ戻ったジェイミーは何年も洞窟に身を隠していました。領地では姉の夫イアンが連行され身重の姉が家を守っていました。
飢饉が続き、彼は身を売ることを考えます。仮の内通者を出してイングランド軍に自分を売りました。それによって家族たちは飢え死にを逃れたのでした。
彼は囚人としてアーツミュアに収監されます。そこの責任者がジョン・グレイ少佐という、かつて助けた例の少年でした。
さて、ある日死にかけた放浪者がみつかりジェイミーは通訳として彼のもとへ連れてこられました。
以前、フランス王からボニープリンスチャーリーに軍資金が送られていたとイングランドでは信じられていましたが、どこかに隠されているらしいと噂されていました。それがこの浮浪者に関係あるとおもわれたのです。この浮浪者からの話を残らず通訳したジェイミーはその後脱獄を企てましたが、三日後に捕まりました。その埋蔵金と関係あるのではとグレイ少佐は疑いました。しかし、頑としてジェイミーは否定。少佐は考えを変えて今度はジェイミーを友人として遇します・・・気を許して何か重要な情報でももらすのではと・・・。
結局、埋蔵金の件はうやむやに・・・その後、捕虜たちはアメリカ大陸へ送られることになりましたが、ジェイミーだけはヘルウォーターの領主のもとで年季奉公をすることになりました。年季奉公といっても奴隷とそう変わりません。その領主には娘が二人おりまして、姉娘の結婚が決まりました。お相手は祖父くらい年のはなれた老人でした。あろうことか、このわがまま娘は、ジェイミーを脅迫して関係を迫ります。彼は故郷の家族に危険が及ぶのを恐れて、いやいやながら取引に応じました。それからすぐ何食わぬ顔で結婚した娘は男児を出産・・・実はジェイミーの息子です。出産してすぐ母親は死亡・・・結婚した伯爵も非業の死を遂げ、その子は母方と父方の相続人となりました。ジェイミーは何年かそこに留まり幼い息子の成長を見守ることが出来ました。しかし、成長するにつれ、だんだん自分に似てくる息子を目の前にして、もはや限界でした(そのうち人の噂にものぼるでしょう)・・・彼はここを去る決心をしました。息子と別れるのは身を切るより辛いことです。
さて、現代に戻ったクレアは最初にフランクと会った時離婚を切り出しましたが、フランクは応じませんでした。彼はブリアナを本当のわが子のように慈しみました(実際彼は子供が作れない体でした)・・・しかし、クレアとの関係は・・・。ある日、フランクから英国へ帰ると言われました。クレアが残ってもブリアナは連れて行くと・・・。多分、何人目かの愛人と一緒に行くのだろうと彼女は考え、それを口にもします。フランクは驚きました。クレアがまさか知っていたとは思いもよりませんでした・・・自分では上手くやっていたと思っていたのです。
でも、クレアは最初からずっと知っていました・・・知っていてなぜ彼が離婚しないのか不思議に思っていました。それは多分、ブリアナだろうと・・・まちがいなく彼は実の娘ではないブリアナを溺愛していました。口論になったその夜、彼女の一言で打ちのめされた彼は黙って車で出て行った後、帰らぬ人に・・・。(ここまでくると第一部のはじめに「ぼくのきもちは変わらない、心から愛してる、なにがあろうとも君を愛し続けるよ」と言ったフランクの言葉がむなしく響き、やるせなさだけが残ります)
英国に残っていた歴史学者のロジャーからその後のジェイミーの記録が見つかったと連絡がありました。
クレアは考えていました・・・いつかジェイミーのもとへ帰ることを!
時の彼方の再会2
待ちに待ったこの一ヶ月・・・あらっ、そういえばストーンサークルを通ったのね、クレア。というわけで一巻目のラストをまた読みかえしていました。
18世紀のジェイミーのもとへ戻ってきたクレアでした。
さて、苦労して印刷屋A・マルコムというお店にたどり着いた彼女は、とうとう見つけ出しました・・・最愛の夫ジェイミーを!
彼は気を失うほど驚きます。しかし20年ぶりの再会にしてはちょっと物足りないような・・・でも涙涙でお互いを見つめあう二人。ジェイミー45才、クレア50才! そこには20年の歳月が流れていました。
ある程度のぎこちなさとよそよそしさ・・・しかたありませんね、お互い20年前の彼等ではありませんから。
とにかくいつもながらストーリー展開は激しいです・・・人と会う約束を思い出したジェイミーはクレアを連れて「快楽の館」を訪ねます。またもや騒動に巻き込まれる二人。彼女を置いて出かけたジェイミー、その間に愛すべき甥ヤング・イアンの初登場〜。(かれは姉ジェニーとイアンの末息子でもうすぐ15才)なんとクレアおばさんを娼婦と間違えてしまいました。家出息子を追いかけてきたイアンはクレアに再会してまるで幽霊を見たように仰天します。(考えてみれば彼女と再会した人たちのその時のリアクションがおもしろいかも)この調子でストーリーを長々書いていくと終わりません。
その後の展開をざっと書いていきます。
ジェイミーの本業は密輸でした。印刷業は隠れ蓑にすぎません。また彼は危ない橋を渡っていました・・・数日経ってその印刷やが火事で喪失・・・危ないところでヤング・イアンを救出したジェイミーは身の危険を感じ、皆を連れて故郷ラリーブロッホへ向かいます。
そこでも大事件! なんとあのリアリーが!
それにジェイミーと彼女は結婚もしていたのです。彼女はクレアと違って見るも無残に中年化していました・・・おまけに二人の子持ち!
嫉妬に狂ったリアリーはジェイミーを銃で撃って大怪我をさせます。リアリーとの結婚のことを言わなかった彼にあまりにも頭にきていたクレアは出て行こうと、あてどもなくさ迷っていましたが、後を追ってきたヤング・イアンに事件を聞いてさっそく引き返しました。
その後、誤解も解けた二人はヤング・イアンを連れてフランスへ向かいます。
途中、リアリーに支払う莫大な慰謝料のためにヤング・イアンが誘拐されます。一巻目に登場した小箱を覚えてますか。あのプリンス・チャーリーにフランス王から贈られたと噂されたあの小箱です。実際はフランス王からではなくサンドリンガム公爵から贈られたものでしたが、彼等はそれの一部を慰謝料に当てようと思い立ち、ヤング・イアンに手伝ってもらったのですが、その途中後をつけていた何物かに誘拐されたのです。
甥を誘拐されたジェイミーは酷く後悔しました。必ず見つけて帰ると決心をして・・・。
この愛すべきヤング・イアン君はこの二巻目で初登場ですが、ジェイミーはまるで自分の息子のようにかわいがっていました。彼も叔父を崇拝していてジェイミーの後ばかり追っかけまわします。
彼の娘ブリアナ、現代から持ってきた彼女の写真を眺めるジェイミーを見ていると切ないですね。
しかし、あの男友達と一緒に写っていた水着姿の写真を見たときの彼のあの反応・・・わかるだけに可笑しい〜。18世紀スコットランドの雷親父という表現もたまらなくおもしろいです。
少年だったファーガスも好青年になりましたねえ・・・リアリーの娘と結婚しちゃうだなんて・・・。世代交代の時期でしょう。でも、主役の二人はまったく年齢を感じさせません。
読み始めると二巻目もあっという間に読んでしまいました。来月発売の三巻目が待ち遠しいです。
時の彼方の再会3
波乱万丈の人生そのもの・・・いやあもうロマンス小説の範囲から逸脱していますね〜。「パイレーツ・オブ・ザ・カリビア〜ン」、漫画だったらサラディナーサやティリアンの時代より後、「トラファルガー」より前あたりですな・・・。
しかし、上手いですね、ガバルドンさん!
退屈することなくイッキ読みのストーリー展開〜。こんなたくましい50才、みたことない、脱帽です! クレア〜〜。
というわけで、前巻で誘拐されたヤング・イアン君をジェイミーとクレアは地の果てまで追っていきます。西インド諸島へと舞台は変わります。疫病のはびこる英国海軍の軍艦に助けを求められ医者として迎え入れられたクレアはそのまま目的地ジャマイカへむりやり連れて行かれることになりました。軍艦にはジャマイカの新総督が乗っていました。あのジョン・グレイ卿です。
目的地へつく前に逃げ出したクレアは再びジェイミーたちと合流し、ヤング・イアンと同じ船に乗っていた逃亡奴隷から彼の消息の情報を得ます。
ローズ・ホールのミセス・アバナシーのところに監禁されているという情報を掴んだジェイミーたちは様子を伺いに彼女の元を訪れました。
それが・・・ミセス・アバナシーを一目見て驚くジェイミーとクレア、なんとその正体はゲイリスではないですか!
あの魔女として火あぶりになったはずのゲイリス・ダンカンでした。彼女は生きていました。(どうやら息子を欲しがるドゥーガルと取引をしたらしいです)
時間を稼ぐためゲイリスの話を聞くクレア・・・二階へ上がると例のアザラシの島にあった宝石の小箱が!
ゲイリスは知っていました・・・ボニー・プリンス・チャーリーの後、彼の後を継ぐ支配者はラバットのフレイザー一族であると。それはブラハンの予言の言葉。その血筋は19世紀には絶えるといわれていましたが、20世紀に存在していました・・・ジェイミーの娘であるブリアナが!
ゲイリスは戻りたがっていました・・・ブリアナのところへ。
ヤング・イアンを道連れに逃げ出した彼女を追ってその場所、洞窟へ急ぐジェイミーたち・・・そこで至近距離から頭を打たれたジェイミー・・・!
それを見ていたクレアは無意識に斧をつかんでゲイリスに振り下ろしていました。
弾が頭に残っていた? 普通死んでますよね、不死身か・・・ジェイミー!
ヤング・イアンを取り戻した彼等は急いでそこから離れようとしました。船までたどり着くと例の軍艦が逃げた奴隷たちの乗った船を攻撃していました。そのどさくさで逃げ延びたと思ったのもつかの間、後を追ってきた英国の軍艦に追いつかれてしまいましたが、運のいいことに嵐に巻き込まれた英国海軍の軍艦は沈没・・・ジェイミーたちも命からがら助かりましたが、それもつかの間、船上の事故で大海原を漂うことに・・・それでも意識のなくなったクレアをしっかり抱え込んでいたジェイミー・・・クレアが目をさますとそこは・・・。
ああまた長くなりました。登場人物が結構多いんですよ、この作品。あれっ、誰だったかな・・・と。キャンベル兄妹もそうなんですが・・・イタコか? あの妹は。兄の方がずっと狂っていました。なんだかあちらこちらで血筋が繋がっていまして・・・ゲイリスの結婚したアバナシーというのは現代のクレアの医者の友人でもあったジョー・アバナシーの先祖でもあったわけです。(ロジャーと同じゲイリスの子孫というわけではなさそうですが)
あのジョン・グレイ卿はなんとジェイミーの隠し子の義理の叔父ですし・・・それにしてもこのグレイ卿を扱った長編が四巻目発売前に刊行される予定だとか。そのグレイ卿の口からジェイミーの隠し子のことを知ってしまったクレア・・・20年の空白って本当に過酷!
でも、やっと見つかったヤング・イアン君、助かって良かったね。
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