「時の旅人クレア」の続編が「ジェイミーの墓標」というタイトルで出版されました。約一年ぶりです。これも3巻目まであるみたいです。完結まではまだまだ先が長いですね…何部まで続くのか。
ジェイミーの墓標1
物語はいきなり1968年にとびます。女医となっていたクレアには19才になるブリアナという娘がいました。ジェイミーとの娘です。彼女は父親の特徴をそっくり受け継いでいました。
クレアはロジャーという学者にカロデンで戦死した戦士や生き残った者、夫の先祖のことなどを調べてもらうように頼みました。彼はブリアナを一目見てとても気に入ります。ロジャーが案内した教会墓地にはジョナサン・ランダルのお墓もありましたが、そこにはまたジェイミーの「クレア最愛の夫」という墓碑銘が刻まれたお墓が・・・!クレアは真っ青になって悲鳴をあげました。
それから娘ブリアナに出生の秘密を明かしました。(蒸発してから2年後にクレアは発見され、その時妊娠していましたが、夫のフランクは暖かく迎え入れ、その子ブリアナも自分の娘として育てました)
またもや日付は18世紀にもどります。1744年、フランスでジェイミーとクレア夫妻はサンジェルマン伯爵と出会い彼の怨みを買います。
そこでジェイミーは酒の輸入商をしているいとこのジャレドを手伝います。サンジェルマン伯爵は彼の商売敵でした。
ボニー・プリンス・チャーリーは当時フランスにいてフランスの援助を必要としていました。しかし、まだ国王ルイ15世とは謁見していません。チャーリーにはロアン公爵夫人ルイ-ズという愛人がいました。彼女とクレアは友達になりジェイミーはよくチャーリーのお伴をして出かけることが多くなりました。公爵夫人ルイ-ズのサロンで15才のメアリー・ホーキンズと会います。彼女はクレアの現代の夫フランク・ランダルのご先祖様でもありました。その頃ファーガスというスリを雇い手紙を盗ませていました。政治がらみでいろいろ暗躍していました。
ベルサイユ宮殿でクレアとジェイミーは死んだはずのジョナサン・ランダルそっくりな男をみました。彼はジョナサンの弟のアレクサンダーでした。
ある日、妊娠しているクレアの毒殺騒ぎがあって犯人にはサンジェルマン伯爵やら宮廷の貴婦人など・・・いろいろ候補を考えられるほど彼等は深みにはまっていました。
ジェイミーの墓標2
パリで暮していたある日のこと、マータフを護衛にメアリー・ホーキンズと連れだって家路を急いでいると賊に襲われメアリーがレイプされてしまいます。運良くクレアは助かったものの後を付いて来たアレクサンダー・ランダルとジェイミーたちによって彼女を家に連れて帰ります。
誤解からジェイミーは逮捕されますが、その後世間にレイプ事件が知れ渡りメアリーは貴族との婚約を解消されました。
偶然、サンドリンガム邸でクレアはウェントワース刑務所のジェイミー救出劇で死んだと思っていたアレクサンダーの兄ジョナサンに出会い驚愕します。その場にジェイミーもいましたからジョナサンもショックを隠しきれません。
ジェイミーは彼を生かしておくことなどできません・・・しかし、クレアは現代の夫フランクのことを思い、殺すことだけは思い止まってもらいたかったのです。彼が死ねばフランクは存在しない人間です。せめて一年待ってもらうことにして(その間にメアリーが受胎するのです)ジェイミーもそれで納得しました。
しかし、納得したと思っていたのに彼等が決闘するという情報が耳に入りクレアは取るものもとりあえず現場に駆けつけました。そこで見たものは・・・彼女はあまりのショックで気を失います。なんと流産してしまいました。クレアはジェイミーにジョナサン・ランダルが殺されたと思ったのです。あれだけ約束したのにジェイミーはそれを破って彼を殺してしまった!フランクも死んだも同然です。クレアにしてみればかけがえのない夫でした・・・彼をもジェイミーは殺してしまった。もう2度と会いたくない、ジェイミーの顔も見たくないと思うほどのショックを受けました。(実際は大怪我をさせただけにとどめたでした)
おまけに決闘は禁止されていましたのでまたもやジェイミーは逮捕されました。釈放には国王ルイ15世の許可が入ります。身体と引換えにしても彼を救い出そうとクレアは国王に謁見します。彼女には魔女だという噂がありました。国王は会いにきた彼女を小部屋へ通します。そこには魔術師として告発されたマスター・レーモンやサンジェルマン伯爵もいました。魔術師や魔女は「猛毒を飲んでも死ぬことはない」という言い伝えがあり、どうやらクレアたちは試されているのだと気付きます。墓穴を掘った伯爵はその場で毒を飲んで死に絶えました。身の潔白を証明したクレアはジェイミーの釈放をも許可されスコットランドへ無事帰えれることも約束されました。
フランスへは2度と戻ってはいけないという条件でスコットランドの故郷ラリーブロッホへ帰って来たジェイミーたちは姉ジェニー夫妻に暖かく迎えられました。故郷で平穏な日々を送る彼等のもとへフランスから1通の手紙が届けられます。そこにはボニー・プリンス・チャーリーの挙兵とそれに荷担するスコットランドのクランたちの名前が・・・!
その中に自分の名前があるのをみて彼は驚愕します。
ジェイミーには寝耳に水です。彼は謀反に荷担する気は毛頭ありませんでした。かえってフランスではチャーリーの思いをくじくためにいろいろ労していました。反乱となるとスコットランドのジャコバイトたちの犠牲も大きいでしょう。ジェイミー不在のまま彼のいとこのジャレドが気をまわしてかってに彼の名前を入れたのでした。しかし、もはや否定もできず、時代の流れに逆らうことができません・・・意を決した彼はその準備にかかります。
ジェイミーの墓標3
クレアを連れ、ラリーブロッホの男達を率いて戦場に赴いているジェイミー、最初形勢は上向きに見えましたが、そのうち逆転しそうです。プリンス・チャーリーの宮殿でクレアはマッケンジー家の長コラム・マッケンジーと会います。彼は様子を見にやってきましたが、そこで一族をあげてチャーリーに賭けてみるかどうか決定をくだすつもりでした。しかし、コラムの病状は日々悪化して故郷に帰ることなく逝ってしまいます。彼の弟ドゥ―ガルが代わってマッケンジーの一族を束ねることになり急速にチャーリーとの親交を深めていきます。
プリンス・チャーリーの要請でジェイミーは父方の親戚を味方に惹き入れるべく祖父を尋ねます。私生児だったジェイミーの父は結婚するとき祖父と仲たがいしていました。そんなわけでほとんど面識のない祖父を彼はほとんど当てにしていませんでした。
祖父オールド・サイモン・フレイザーは妻を道具のように考え何度か結婚を繰り返し、不遜で傲慢、人の意見など聞きそうもない人物です。それがどういうわけか、嫡子に200人近い軍勢をつけて送り出してくれました。
ある日、クレアのもとへジョナサン・ランダルが訊ねてきました。彼には病弱な弟アレクサンダーがいます。鬼畜なランダル大尉にも人間らしいところが・・・と思いクレアはとまどいました。彼は弟を診察して看病してくれるかわりに情報を提供しようと申し込んできました。アレクサンダーとメアリー・ホーキンズは恋仲です。
さて、戦闘はジャコバイトたちが不利になってきました。教会へ逃げ込んだ時、イングランド軍に囲まれました。その時、ドゥ―ガルの意見でクレアを人質を解放するという名目で利用することにして、イングランド軍へ引き渡しました。その時はそれしか選択がありませんでしたのでジェイミーも不承不承承知しました。彼女は結局サンドリンガム公爵のところで監禁されることになり、そこでメアリー・ホーキンズと会い、ジェイミーたちの手引きで脱走に成功します。その後、臨終のアレクサンダー・ランダルのたっての頼みでジョナサン・ランダルとメアリー・ホーキンズの結婚式の立会人に夫婦で出席させられます。その時、メアリーは妊娠していました・・・アレクサンダーの子です。死に逝く自分とメアリーの未来を想って兄にすべてを託したのでした。(ということはフランクの先祖はジョナサンではなくアレクサンダーだったのです)
ジャコバイトたちの形勢はとても不利になってきました。このままでは歴史通りの結果になるのは見えています。そこでクレアはある考えを提案します。つまり、プリンス・チャーリーさえいなくなれば大義名分はなくなるわけです・・・彼の死を願い、ジェイミーに耳打ちします。
しかし、それをドゥ―ガルに立ち聞きされ、彼を激怒させます。クレアを魔女だと言って殺そうとしましたが、ジェイミーに返り討ちされ、殺されてしまいました。叔父をころしてしまった彼に逃げ道はありません。クレアは妊娠していました。彼はクレアをもとの世界へ送り返すことを決心しました。
物語はまた現代にもどります。クレアの話を聞いて学者のロジャーは事実ではないかと思いはじめました。クレアは彼にそれ以上に驚くことを話します。魔女として火あぶりになったドゥ―ガル・マッケンジーの愛人で地方検察官の妻だったゲイリス・ダンカンには不義の子供がいました。それがロジャーのご先祖さまだというのです。おまけに彼女はまだこちらの世界にいてこれから彼女を探しに行かないかといわれました。
もしかして彼女を救うことができるかもしれないと・・・でも、そうなると彼は存在することができるのかと、違った心配事が・・・。
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